2009年8月11日火曜日

読書感想文 「学問」 by 山田詠美

彼女の作品はどれも好きだけれど、子供でも大人でもない
思春期の人間を描いた作品は、特に好きだ。

ごくごく当たり前の日本語が綴られているだけなのに、文章からは温度や湿度が伝わってくる。

物語の舞台は私の知らない時代のはずなのに、その場所の風景や空気が
自分だけの記憶と混じり合って、なんだか胸がざわめいてくる。


新聞に、この作品の書評がちらほら出ていた。

物語を分析しだしたらキリがないけれど、いつか必ず「死ぬ」のだと思うと
私の持っている「欲望」が愛しくて、たまらなくなる。

日々の生活に追われて、「欲望」がエスカレートしていくことはあっても、
それを手放すことはしたくない。

そう思った。

2 件のコメント:

  1. 私も、彼女の作品のうち、思春期を扱ったものが好きですね。「僕は勉強ができない」とか、すんごい名作だと思います。

    なんででしょう、私も、「私個人の、私だけがもっているはずの記憶」が彼女の本にちりばめられているような、変な錯覚がするんです。

    もしかすると、「思春期にこうありたかった、こういう記憶にしたかった」という願いかもしれません。

    そして、私も「欲望」は手放したくないな〜〜〜。
    それがたとえ醜いものでも。抱えて、抱えながら生きていきたいな最近思う今日この頃です。

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  2. mi-maさん、コメントありがとうございます☆

    「欲望」って時にやっかいだけれど、
    その根っこの純度はすごく透明なんじゃないか
    とも、思ってるんです。

    年を重ねるにつれ、純度を保つのってむずかしく
    なるのかもしれないけど、そのつど、上手な「欲望」の
    可愛がり方を学んでいきたいなーと思っています。

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